委員会活動
プロフェッショナリズム・行動科学委員会
プロフェッショナリズム・行動科学委員会 Professionalism and Behavioral Science Committee
日本医学教育学会
倫理・プロフェッショナリズム委員会
倫理・プロフェッショナリズム委員会
「ユネスコ生命倫理ケースブック」翻訳版
翻訳の経緯と目的
この度、倫理プロフェッショナリズム委員会は、全国医療関連学生および医療専門職に対する生命医療倫理教育を促進することを目的に『ユネスコ生命倫理ケースブック』(Casebook on Human Dignity and Human Rights (Casebook Series, No. 1, 2011)およびCasebook on Benefit and Harm (Casebook Series, No. 2, 2011)を翻訳しました。翻訳作業にあたっては、委員会メンバー以外の20名以上の方々の協力を得ています。
Book 1『人間の尊厳と人権』とBook 2『利益と害』には計63の実際の事例が掲載されています。いずれも世界各国の高等裁判所または最高裁判所レベルで審議されたケースで、関連する倫理的問題が明確に提示されています。各事例には症例提示、倫理的問い、賛否両論、裁判所判決、そして倫理的考察が簡潔に記載されており、臨床現場および臨床研究に関わる生命・医療倫理の学習と教育に非常に役立つものになっています。様々な国の事例が、歴史的な意義が高いものも含め取り上げられ、本領域の知識を高め、理解を深めることができるでしょう。また従来の症例集にはない問題に関わる事例も少なくありません。さらに倫理原則を用いた厳密な議論に触れることもできるでしょう。
初学者にも生命医療倫理領域の教育研究者にも十分に役立つ内容と構成になっているので、自己学習、有志の勉強会、そして授業やセミナーの題材に活用いただければ幸甚です。
2013年5月
監訳担当 浅井篤、板井孝壱郎、大生定義、後藤英司
Book 1 『人間の尊厳と人権』
- Case Study 1:プライバシー(米国 1991年)
- Case Study 2:医師の権利(カナダ 1998年)
- Case Study 3:患者の個人的な医療情報における患者の権利(イスラエル)
- Case Study 4:未承認治療に対する異議(米国 1977年)
- Case Study 5:尊厳を持って生きる権利(日本 1984年)
- Case Study 6:終末期にある未成年者に対する治療の中止(米国 2007年)
- Case Study 7:救命治療の差し控え(豪州 1991年)
- Case Study 8:終末期(エンド・オブ・ライフ)に関する考察(イングランド 1993年)
- Case Study 9:疼痛の緩和(米国 1997年)
- Case Study 10:拒否の権利(米国 1993年)
- Case Study 11:命の終わり(カナダ 1993年)
- Case Study 12:精神疾患の強制治療(米国 1986年)
- Case Study 13:精神疾患患者による骨髄提供(英国UK 1997年)
- Case Study 14:未成年者の代わりに救命治療を拒否すること(チェコ 2004年)
- Case Study 15:信仰を理由に救命のための治療を拒否する未成年(カナダ 1985年)
- Case Study 16:宗教的信念により治療を拒否すること(イングランド 1992年)
- Case Study 17:インフォームド・コンセント(カナダ 1985年)
- Case Study 18:インフォームド・コンセントに必要な情報(イスラエル)
- Case Study 19:代替治療法についての情報 75(日本 1998年)
- Case Study 20:予期しない医学的問題のために事前の同意なく治療を行うこと(カナダ 1933年)
- Case Study 21:不可逆的処置に関するインフォームド・コンセントの特別な重要性(インド 2008年)
- Case Study 22:意識のない患者の推定同意(香港 2003年)
- Case Study 23:精神障害患者に対し、同意なく実施される不可逆的な医療行為 93(イングランド 1989年)
- Case Study 24:患者の決定を尊重すること 97(米国 1914年)
- Case Study 25:保健医療サービスを提供する際の平等性 100(南アフリカ 1997年)
- Case Study 26:国家が救急医療を提供する義務(インド 1996年)
- Case Study 27:「不当な生命(ロングフル・ライフ、wrongful life)」という主張(イスラエル)
- Case Study 28:義務的な予防接種(豪州 1996年)
- Case Study 29:囚人の尊厳保護 116(イングランド 2007年)
- Case Study 30:配偶者間体外受精のための無断の精子採取(豪州 2000年)
Book 2 『利益と害』
- Case Study 1:同意なしの治療―医療行為の拒否(米国 1986年)
- Case Study 2:同意のない治療―患者の拒否にもかかわらず施行された治療(日本 1998年)
- Case Study 3:同意なしの治療―患者の意見を無視した治療(カナダ 1935年)
- Case Study 4:同意のない治療―第三者を通じて行われる治療(イスラエル)
- Case Study 5:未成年者の治療(アイルランド 2001年)
- Case Study 6:未成年者の治療-患者の福利(英国UK 1999年)
- Case Study 7:未成年の治療-ティーンエイジャーの治療(英国UK 1985年)
- Case Study 8:未成年者の治療(アイルランド 1965年)
- Case Study 9:未成年者の治療―10代の未成年者における美容外科(米国 2004年)
- Case Study 10:選択的処置(香港 1998年)
- Case Study 11:選択的治療(英国UK 2001年)
- Case Study 12:選択的治療(ニュージーランド 2004年)
- Case Study 13:選択的治療(ニュージーランド 1992年)
- Case Study 14:選択的治療 近年開発された医学的治療(シンガポール 2002年)
- Case Study 15:選択的治療(英国UK 2002年)
- Case Study 16:研究―患者の知らされていな研究へ参加(米国 1991年)
- Case Study 17:新薬の利用と手続き-新薬の賢明な使用(南アフリカ 2002年)
- Case Study 18:新薬の利用もしくは手続き―実験的医療 対 科学的根拠に基づく医療(イスラエル)
- Case Study 19:新しい薬剤または手技の使用(米国 1997年)
- Case Study 20:新しい薬剤や手技の使用-証拠に基づく治療ではない場合-(英国UK 2003年)
- Case Study 21:移植―未成年からの骨髄移植(イスラエル)
- Case Study 22:移植―精神的な障害を持つ患者からの腎臓提供(イスラエル)
- Case Study 23:臓器移植(米国)
- Case Study 24:生殖医療(日本 2006年)
- Case Study 25:生殖医療(英国 2003年)
- Case Study 26:情報―第三者に対する責務(米国 1995年)
- Case Study 27:情報―患者に医学的な秘密情報を開示しないことについて(カナダ 1994年)
- Case Study 28:情報―医療における秘密保持とその諸限界(インド 1998年)
- Case Study 29:情報―医療上の秘密保持の侵害(日本 2002年)
- Case Study 30:情報―AIDS患者の秘密保持(豪州 2004年)
- Case Study 31:情報(豪州 2006年)
- Case Study 32:情報―犯罪者に関する秘密の保持義務(英国 1990年)
- Case Study 33:雑録―医療の広告と宣伝(香港 2006年)