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学会誌

論文抄録

『医学教育』51巻・第5号【抄録】2020年10月25日

INDEX
特 集 コロナ禍における医療人育成
巻頭言
…武田 裕子
特 集 コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-1 新型コロナウィルス感染症対策における カリキュラム対応と今後について
…鶴田 潤
特 集 コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-2 COVID-19パンデミック禍における鹿児島大学での歯学教育の取り組み
…田口 則宏,西村 正宏,杉浦 剛,吉田 礼子,松本 祐子
作田 哲也,岩下 洋一朗,大戸 敬之,鎌田 ユミ子
特 集 コロナ禍における医療人育成
【歯学領域】
1-3 COVID-19パンデミック下の教学における教員・職員連携の重要性
…池尾 隆
特 集 コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-4 Microsoft「Teams・OneNote・Forms・Stream」を利用した
歯学部5年生対象オンライン臨床実習の試み
-オンライン実習および小グループ討論に対する学生の感想-
…鈴木 一吉
特 集 コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-5 オンラインでのコミュニケーション概論実習の実践
…岩田 洋,岡田 智雄
特 集 コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-6 コロナ禍での研究室配属科目における取り組み
…鬼塚 千絵,木尾 哲朗
特 集 コロナ禍における医人育成
【2 薬学領域】
2-1 コロナ禍における薬学実務実習での工夫
…猪田 宏美,藤吉 正哉,西原 茂樹,松本 准,有吉 範高,千堂 年昭
特 集 コロナ禍における医療人育成
【2 薬学領域】
2-2 参加体験型学習中心であったコミュニケーション教育の 遠隔教育移行での教育方略
…半谷 眞七子
特 集 コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-1 新設2年目の看護学部で迎えた COVID-19パンデミック下における遠隔授業の導入
…上原 明子,大関 春美
特 集 コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-2 「ピンチをチャンスに」:シミュレーションを活用した教育方法改革の第1歩
…川原 千香子,伴 信太郎,早稲田 勝久
特 集 コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-3 コロナ禍におけるICTを活用したシミュレーション教育の実際
…阿部 幸恵,伊藤 綾子,渡邊 裕見子,川端 愛,杉原 ひとみ,冷水 育
特 集 コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-4 バーチャル・シミュレーションを用いたハイブリッド型成人看護学実習の取り組み
…益田 美津美,小田嶋 裕輝
特 集 コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-5 看護計画立案時の認識変容を促す条件抽出法を用いた遠隔グループワーク
…コリー 紀代
特 集 コロナ禍における医療系教育
【4 理学療法・作業療法領域】
4-1 コロナ禍対応でみえてきた目指すべきリハビリテーション教育
…村田 和香
特 集 コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-2 新型コロナウイルス感染症流行下における
療法士学生への臨床実習教育についての省察
−治療者として患者保護の視点と,教育者として学生育成の間に立つジレンマから−
…山下 昌彦,津田 陽一郎
特 集 コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-3 COVID-19とともに歩む理学療法学教育 -これまでの取り組みと展望-
…内山 靖
特 集 コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-4 多職種連携医療の理解を促すためのブレンド型授業でのPBLの試み
…平山 朋子,杉山 芳生
特 集 1コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-5 2020年度4年次作業療法学生の作業療法総合臨地実習とそれに関連した学習支援
…谷村 厚子,小林 法一,石井 良和
特 集 コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-6 パンデミック下の医療福祉系大学における人類学の遠隔教育の試み
…飯田 淳子
実践報告 実践報告―新たな試み―
コミュニケーションエラー体感型ボードゲームを用いた
卒前医療安全教育の試み
…前田 佳孝,淺田 義和,鈴木 義彦,川平 洋
実践報告 実践報告―新たな試み―
臨床研修指導医講習会における医学教育ケースカンファレンスの試み
…木村 武司,種村 文孝,近藤 猛,錦織 宏
委員会報告 プロフェッショナリズム教育方略 連載第9回
9.有意事象分析Significant Event Analysis
…野村 英樹
委員会報告 プロフェッショナリズム教育方略 連載第9回
9.1 非行misconductが認められた学習者の
再教育remediationツールとしてのSEA
…野村 英樹
委員会報告 プロフェッショナリズム教育方略 連載第9回
9.2 勤医協中央病院初期研修プログラムにおける
SEA(Significant Event Analysis)の実践
…臺野 巧
追悼文 紀伊國献三先生を偲んで
日本と世界の医学教育の架け橋であった紀伊國先生
…神津 忠彦
掲示板
(ニューズ)
第77回e医学教育セミナーとワークショップ
…今福 輪太郎
掲示板
(書評・文献紹介)
『医学教育研究室の抄読会から』第4回
…木村 武司,錦織 宏
掲示板
(意 見)
心理学者との積極的な交流を:医学教育の発展への提言
…和田 剛宗
機関会員のページ 宮崎大学医学部附属病院
University of Miyazaki Hospital
…小松 弘幸
機関会員のページ 大阪府済生会茨木病院
Osaka Saiseikai Ibaraki Hospital
…松島 由美
機関会員のページ 松江赤十字病院
Matsue Red Cross Hospital
…垣羽 寿昭
機関会員のページ 公益社団法人臨床心臓病学教育研究会
Japanese Educational Clinical Cardiology Society(JECCS)
…木野 昌也
機関会員のページ 香川大学医学部附属病院
Kagawa University Hospital
…南野 哲男
機関会員のページ 国立病院機構 呉医療センター
Kure Medical Center
…水之江 知哉
コロナ禍における医療人育成
巻頭言

武田 裕子*


*順天堂大学 医学部医学教育研究室
コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-1 新型コロナウィルス感染症対策におけるカリキュラム対応と今後について

鶴田 潤*

はじめに
新型コロナウィルス感染症は,初等中等教育,高等教育,我々歯学部・歯科大学の教育提供体制へ大きな影響を与えている.この稿を書いている2020年9月現在,東京医科歯科大学歯学部では,後期カリキュラム運営,2021年度カリキュラム立案について,対面授業・遠隔授業の組み合わせを始め,安全・安心な環境での継続的なハンズオン実習・患者診療実習実施など,多くの課題を処理している最中である.今回は,2020年3月以降,新型コロナウィルス感染症対策における教育対応を振り返るとともに,これら対応に対する所感を述べたいと思う.


*東京医科歯科大学統合教育機構 歯学部カリキュラム委員長
コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-2 COVID-19パンデミック禍における鹿児島大学での歯学教育の取り組み

田口 則宏*1 西村 正宏*2 杉浦 剛*3 吉田 礼子*4 松本 祐子*4
作田 哲也*4 岩下 洋一朗*1 大戸 敬之*4 鎌田 ユミ子*4

はじめに
新型コロナウィルスの感染拡大は,我々の日常を一変させた.特に感染が広がらないようにするために,全世界共通で人々のコミュニケーションが大きく制限された.例えば,会話時における人と人との距離の確保,またマスク等で飛沫の飛散を防御せねばならないこと,3密を避ける行動などが新しい常識となりつつある.たったこれだけのこと,と言っては語弊があるかもしれないが,このような行動様式の変化だけで,我々の日常は極めて大きな影響を受けた.とりわけ教育面,中でも日々多くの患者と近接しながら業務を行っていかねばならない医療者の教育分野では,その影響は深刻である.
本稿では,筆者が所属する鹿児島大学歯学部における新型コロナウィルス感染拡大に対する対応と,筆者が直接対応を行った鹿児島大学病院における歯科医師臨床研修の運用面について述べていく.


*1 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯科医学教育実践学分野
*2 鹿児島大学 歯学部長
*3 鹿児島大学病院 歯科医師臨床研修管理委員会委員長
*4 鹿児島大学病院 歯科総合診療部
コロナ禍における医療人育成
【歯学領域】
1-3 COVID-19パンデミック下の教学における 教員・職員連携の重要性

池尾 隆*


*大阪歯科大学 歯学部生化学講座
コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-4 Microsoft「Teams・OneNote・Forms・Stream」を利用した
歯学部5年生対象オンライン臨床実習の試み
-オンライン実習および小グループ討論に対する学生の感想-

鈴木 一吉*

はじめに
愛知学院大学歯学部の5年生の臨床実習は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防対策として,オンライン授業の推進が求められた.そこで,筆者が担当する附属病院歯内治療科での臨床実習でオンライン授業を導入した.その概要と,一部ではあるが受講学生から感想を募ったので紹介したい.


*愛知学院大学 歯学部歯内治療学講座
コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-5 オンラインでのコミュニケーション概論実習の実践

岩田 洋*1 岡田 智雄*2

はじめに
東京都内にて初めて日本人のCOVID-19感染患者が確認されたのは, 2020年2月13日と報告されている.日本歯科大学生命歯学部では当時後期試験が終了し、第5学年が附属病院にて臨床実習を継続していたが、いち早く大学および病院への登校を中止し、自宅学習に切り替えた.4月以降COVID-19感染者の増加に伴い、全学年の学生の登校を禁止し、授業は自宅における課題学習として実施した.その後全ての授業をオンラインにて行うべく、カリキュラム編成の変更、学生のWeb環境の確認と整備、教員のFDを実施した.学習方略には、以前より使用していたオンライン学習管理システム(Moodle)およびオンラインビデオ会議システム(Zoom)を用い、5月末より授業を開始した.
歯学部のカリキュラムでは多くの時間を実習にあてている.実習のオンライン学習は困難であり、実際の実技は後期に先送りし、講義可能な内容の学習が中心となった.しかし一部の実習はシステムを工夫し、対面実施とほぼ同等の教育効果を得られたと思われるので紹介する.


*1 日本歯科大学生命歯学部附属病院 放射線病理診断科
*2 日本歯科大学生命歯学部附属病院 総合診療科
コロナ禍における医療人育成
【1 歯学領域】
1-6 コロナ禍での研究室配属科目における取り組み

鬼塚 千絵* 木尾 哲朗*

はじめに
我々が令和2年(2020年)前期に携わったのは,歯学科2年生を対象とした研究室配属である.
本学の研究室配属は,学生が研究に対する理解を深め,卒業コンピテンシーにあるリサーチマインドを持った歯科医師になることを目的とし,平成9年度より16年度まで基礎配属科目として4年次前期に開講された.その後,カリキュラム編成にともない,平成18年度から29年度までは名称を研究室配属科目に変え,5年次前期に4単位必修科目として実施していた.さらに,カリキュラム改編のため平成27年度から2年次の前期となり,30コマ(90分×30回)の枠組みで実施されている.
我々の研究室は,平成24年度より毎年1名から4名の学生を受け入れている.
昨年11月上旬に,講義の一環として1年次の学生に対して,研究室配属説明会が開催され,研究室の受け入れ予定の教員が講義室にてそれぞれの研究テーマについて説明を行った.研究テーマについて興味を持った学生は11月中旬に教員へ個別に連絡し,アポイントを取り,研究室への訪問を行った.学生はテーマへの理解を深めた後に希望する研究室の選択をし,最終的に研究室配属運営部会が12月に学生の配属先を決定した.


*九州歯科大学 口腔機能学講座 総合診療学分野
コロナ禍における医人育成
【2 薬学領域】
2-1 コロナ禍における薬学実務実習での工夫

猪田 宏美*1 藤吉 正哉*2 西原 茂樹*1 松本 准*2 有吉 範高*2 千堂 年昭*1

2020年2月中旬,2019年度の実務実習が終了し,ほっとしていた頃,翌月に控えていた学会の開催中止のお知らせが相次いで届いていた.この時点では,5月末開始予定である次年度の実習は,ずっと先の話で,まだまだ楽観的に考えていたと思う.年度が変わり,4月7日,病院内(医局を含む)での臨床実習を見合わせ,学生の病院内への立ち入り禁止について岡山大学病院(以下,当院)執行部から通知があった.その翌々日,薬剤部から薬剤師2名,薬学部から教員2名で,今後の実務実習の実施について協議を行った.
本稿では,当時作成した議事録をもとに,再開されるまでに検討した内容,実習が再開されてからの対応や実施する上での工夫を報告する.


*1 岡山大学病院 薬剤部
*2 岡山大学 薬学部
コロナ禍における医療人育成
【2 薬学領域】
2-2 参加体験型学習中心であったコミュニケーション教育の遠隔教育移行での教育方略

半谷 眞七子*

はじめに
2019年度は,1月に新型コロナウイルス感染のニュースが流れ,あっという間に日常生活だけでなく,教育機関でも影響を受け,卒業式は中止となり,卒業生とは祝福をしないままの別れとなった.2020年度も,名城大学薬学部では,4月からの講義は原則遠隔講義となり,また緊急事態宣言を受けて,学生は勿論,教員も大学への入講が禁止となった.緊急事態宣言解除後は,入講できる学生は全体の3割に規制され,対面と遠隔での教育が並行して行われた.対面で行われる講義は,実習や演習が必要な科目であり,講義形式の科目については原則遠隔での教育が継続された.
また,本学部の特徴として1学年の定員が275名であり,医学部と比較して2倍以上の学生がいることである.通常はABCDの4クラスに分かれ,2クラスの140名程度が一緒に講義を受ける.しかしながら,今年度は感染対策のため,1クラス(70名)単位で講義が進められることになった.そのため,教員が同じ実習の内容を4回実施したり,2つの教室をZoomで同時進行する等の工夫が余儀なくされた.9月からの後期のカリキュラムにおいても,対面講義と遠隔講義のハイブリットで実施している.
本稿では,従来は対面で,かつ参加体験型学習を取り入れた1年次の「コミュニケーション基礎」を,試行錯誤しながら遠隔講義に移行した取り組みについて紹介する.


*名城大学 薬学部
コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-1 新設2年目の看護学部で迎えたCOVID-19パンデミック下における遠隔授業の導入

上原 明子* 大関 春美*

はじめに
創立73年を迎えた2019年4月,清泉女学院大学(長野県長野市,以下,本学)は新たに看護学部看護学科を開設(以下,本学科)し,開設初年度の10月には台風19号による被害を経験した.災害復興も束の間,開設2年目を控えた矢先の2020年初頭,次に本学の苦難として立ちはだかったのは,世界的なCOVID-19のパンデミックであった.
本学では,4月初旬に授業開始1カ月延長と遠隔授業実施の決定がなされ,遠隔授業の実施方法については,原則として各学科により検討・運用とする方針となった.本学には学習管理システム(以下,LMS)の一環として,開設当初よりG Suite内のGoogle Classroomが搭載されていたが,COVID-19以前にはほぼ活用されていない状態であった.事実,筆者らが本学科の専任教員を対象として2019年度に行った調査では,87.5%の教員が「LMSを知らない」,または,「LMSの活用経験がない」と回答しており,いわんや,学内にはLMSを統括管理する専門部門がない状態であった.そこで本学では,「各学科の教職員に遠隔授業の操作方法等を伝達する役割であるコアメンバー」が選出され,筆者らは本学科におけるコアメンバーとして任命された(本学科における構成員:筆者ら専任教員2名,専任職員1名) .
筆者らは, ICT初心者であっても比較的導入しやすいと考えられたGoogle Classroom,Google Forms,Zoomを遠隔授業の主な手段として選択・提案し,遠隔授業の導入を試みた.本稿では,コアメンバーとしての筆者らの活動を整理し,活動から見えた今後の課題について報告する.


*清泉女学院大学 看護学部看護学科
コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-2 「ピンチをチャンスに」:シミュレーションを活用した教育方法改革の第1歩

川原 千香子*1 伴 信太郎*1 早稲田 勝久*2

はじめに
COVID-19下で,病院看護部,卒後臨床研修センターと協働して,実技を中心とした研修の工夫に取り組んだ経験を紹介し,シミュレーションセンター及び専任教員の役割,および今後の病院職員研修のあり方について考察したい.
愛知県は,2020年3月13日の新型コロナウィルス対策特別措置法の成立時から,「特定警戒都道府県」であったため,当学でも3月中旬から4月のオンライン開講にむけて準備を進めていた.幸い私たちは少なからず,テレビ会議システムを使った経験があったが,まだ使ったことのない多くの教員にいかにストレスなくオンラインで授業を実施してもらうかを,医学教育センターとICT支援部門,教務課,基礎科学教員で検討し,4月6日から手探りではあったが,オンラインライブ授業開始にこぎつけた.
病院職員(新人看護師,初期研修医)は,例年4月初旬に集中的に集合研修を実施していたため,その方法も変更を余儀なくされた.本稿では,卒後臨床研修センター初期研修医ガイダンスと,看護部新採用者研修の取り組みについての実際と今後の課題について紹介する.


*1 愛知医科大学医学部 シミュレーションセンター
*2 愛知医科大学医学部 医学教育センター
コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-3 コロナ禍におけるICTを活用したシミュレーション教育の実際

阿部 幸恵*1 伊藤 綾子*1 渡邊 裕見子*1 川端 愛*1 杉原 ひとみ*1 冷水 育*2

はじめに
2020年の1月,多くの日本国民がオリンピックイヤーの年明けを喜び,期待に胸を膨らませていたに違いない.今年がこのような年になると誰が予想しただろう.2019年末,武漢で原因不明の肺炎患者の出現が発表され,その後,新型コロナウイルスの感染が全世界に広がりパンデミックとなった.3月には,全国の小中学校と高校などの一斉休校,企業のリモートワークの導入,4月7日には,本邦初の緊急事態宣言が発令された.そして,大学では,学生が登校できなくなり授業ができない状況に陥った.
筆者の大学は約1カ月遅れの連休明けからオンラインでの授業を開始した.ただし,その時点では,リアルタイムで大勢の学生と授業をするのには,システムの問題や教員のスキルの問題もあり,限られた少人数のクラスだけにとどまった.多くは,授業を撮影してオンラインで配信した.しかし,この授業を撮影する作業は,パソコン画面を見つめて,1人でしゃべる連続であり,心がなえてしまいそうな思いを何度も感じた.従来の対面授業のように学生が目の前にいると,集中しない学生にいら立ち,寝ている学生にあきれて,うなずく学生に勇気づけられていたことを痛感した.学生の反応やタイムリーな質問によって,雑談も入れられた.意外な発見だが,この雑談こそが,学生・教員間のコミュニケーションを深め,授業中の箸休め的な小休憩になって,授業に緩急をもたらしていた.雑談も入れられず,パソコン画面にひたすら向かい授業動画を作るのも限界を感じた.動画配信以外に学生と双方向性を保つ方法はないものかと色々と試行錯誤してきた.本稿では,その一部であるICTを活用したシミュレーション教育の試みについて紹介する.


*1 東京医科大学 医学部看護学科
*2 東京医科大学病院 シミュレーションセンター
コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-4 バーチャル・シミュレーションを用いたハイブリッド型成人看護学実習の取り組み

益田 美津美,小田嶋 裕輝

はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により,本学では令和2年度4月上旬の入学式,開講が延期され,全学方針のもと,短期間でオンラインビデオ会議システムであるZoomを用いたオンライン講義の体制が構築された.4月21日にはオンライン講義が開始となったが,看護学部では,これに続き,5月11日から開始される4年生の臨床実習をどうするかという決断に迫られた.様々な情報が錯綜し,COVID-19の収束の気配もない不確かな状況の中,最終学年である4年生の臨床実習延期は困難であろうという方針となり,代替方法としてのオンライン実習の準備・調整が慌ただしく始まった.
看護学部では,4年生80名を6グループに分けて,領域別に2週間ずつローテーションし,5月11日~8月7日の約3カ月間の臨床実習が行われる.4月の時点では病院での臨床実習中止・オンライン実習への置き換えという決断をしたが,COVID-19の状況によっては,病院での臨床実習が再開される可能性もあった.この場合,時期によって,オンライン実習を行うグループと病院での臨床実習を行うグループが混在することが問題となった.そこで,どのような方法であっても,可能な限り,同程度の学習成果を保証することを念頭に置き,オンライン実習,通常の実習,あるいはその両方を組み合わせたハイブリッド型の実習に対応できるような方法を検討した.今回は,著者らが所属する成人看護学実習でのCOVID-19下での取り組みについて報告する.


*1 名古屋市立大学大学院 看護学研究科クリティカルケア看護学領域
*2 名古屋市立大学大学院 看護学研究科がん看護・慢性看護学領域
コロナ禍における医療人育成
【3 看護領域】
3-5 看護計画立案時の認識変容を促す条件抽出法を用いた遠隔グループワーク

コリー 紀代*

緒 言
北海道内では全国に先駆けてCOVID-19のクラスターが報告され,比較的早期に感染症の流行が開始した.そのため,大学でも卒業式等のイベントの中止が早い段階で取り組みが開始されている.本稿では,COVID-19 の感染拡大による遠隔授業に関する全学的な取り組みを踏まえ,筆者が担当したMoodleとZoomを用いた遠隔グループワークの事例について述べる.


*北海道大学大学院 保健科学研究院
コロナ禍における医療系教育
【4 理学療法・作業療法領域】
4-1 コロナ禍対応でみえてきた目指すべきリハビリテーション教育

村田 和香*

はじめに
リハビリテーションに関わる職業は,対人サービスそのものといえる.しかし,今年のCOVID-19の感染拡大は,大学教職員と学生と,あるいは学生同士のインフォーマルを含む他人と関わる体験的学習の貴重な機会を奪うものとなった.
私の勤務する大学では,オンラインでの授業から少しずつ対面授業へと切り替えることができた.それでも,オンラインやオンデマンド授業のための教室整備や資料準備,病院が求める臨床実習の延期や縮小実施の対応をしなければならず,教員は苦慮した.大学や教職員は先が見えずにばたばたした中で,国や県の対応に即した判断が求められ,学生はなすすべなくそれに従うこととなり,一層受け身になっていったような気がする.
対面授業を始めるまでは一時的であれ,大学は病院と学生とを,そして大学からも学生を切り離した.未知のウイルスに学生を感染させ,健康や生命の危機にさらしてはいけないと考えての分断である.ほとんどの学生は感染の恐怖と不安に,身を危険にさらす機会を減らす,通学しない選択を素直に受け入れた.
さらに,世間は一般学生と,医学・医療を学ぶ学生を一緒に扱ってしまった印象を持つ.「若者は怖い存在.何をしでかすかわからない.だから,大学生は大学へ通わず,外に出ず,自粛すべし」というような感じである.学生は弱者に感染させる可能性を持つ存在と自分たちを位置づけてしまった者が多く,身動きの取れない状況に陥っていった.
社会が医療資源不足の恐れを大きな問題とする中で,若者の感染拡大や,若者から高齢者への感染を避けるために,医療対象としても学ぶものとしても学生の位置づけを低くしたのは事実である.このことで学生が不安や疎外感から医療職となる夢を閉ざしてしまわないか,方向転換する者や志望しない者が潜在的に増えてしまうのではないか,気になるところである.何よりも来春卒業する者にとって,国家試験受験や就職先の決定など将来への不安は計り知れない.
そもそも医学・医療を学ぶ学生は,病院や施設などの感染と闘うところにいずれ勤める.またその仕事は,人と接するものであり,人の身体を直接触るものである.学生時代に,そんな現場の体験を減らすことを選んでしまったが,本当にこれで良かったのだろうか.こんな時にこそ学ぶべきものが多くあり,大切な学びの機会を奪ってしまったのではないか,放棄させてしまったのではないかとの後悔が残る.教育,特に医学・医療教育に関与する教員は皆逡巡したと思う.
オンラインやオンデマンドで伝えられるタイプの知識は,学生が何度も見直すことができるものになったのは事実である.一方で,学生にとってはこの状況そのものがかけがえのない教材であったはずであり,その生きた学習の機会を一律に奪ってしまったことが果たして適切であったのかどうか,という疑問を抱き続けている.
病院や医療関係者の生活が,COVID-19の感染拡大以前に戻ることができるとは想像がつかない.人類と感染症との闘い,共存というべきかもしれないが,それは今後も繰り返されると思われる.感染症が人類の健康な日常生活や社会生活を脅かす場面では,ソーシャルディスタンスの適用もやむを得ない時期が続くだろう.その中でも教育活動を継続し,学習を支援していくためには,どうすべきか整理しておく必要がある.


*群馬パース大学 リハビリテーション学部開設準備室
コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-2 新型コロナウイルス感染症流行下における
療法士学生への臨床実習教育についての省察
−治療者として患者保護の視点と,教育者として学生育成の間に立つジレンマから−

山下 昌彦* 津田 陽一郎*

はじめに
新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の拡大は,遠隔授業の導入や演習科目の制限などこれまでの療法士教育を一変した1).特に臨床実習については軒並み中止となり,paper patient を用いたオンラインでの学内演習などに移行する傍ら,実習再開に向けて模索する養成校が大半を占めた.岡山県においてもCOVID-19感染者は少ない地域ではあったが,大都市圏での感染拡大および緊急事態宣言を受けて,今年度の実習は一旦すべて中止となった.その後,臨床実習中止後から再開に向けて養成校から依頼を受けるなかで,ジレンマを感じることがあり,現在も続いている.
今回,実習受け入れ中止から再開に至るまでの経過および再開後の対応から,COVID-19下での臨床施設における実習教育に関する私見を述べたいと思う.


*倉敷平成病院 リハビリテーション部
コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-3 COVID-19とともに歩む理学療法学教育 -これまでの取り組みと展望-

内山 靖*

はじめに
2020年1月頃から新型コロナウイルス感染症に関する報道が頻繁になり,1月31日に世界保健機関(World Health Organization: WHO)から緊急事態宣言が出されると,世界の関心と脅威は身近なものとなった.その後,人々の往来や外出が制限され,各イベントの中止など日常生活に与える影響は広がり,近代社会において経験のない対応に迫られた.  
学校教育においては,年度末の卒業(学位伝達)式は一堂に会する従来の式典は縮小または中止となり,新年度を迎える対応に奔走した.4月以降は対面講義に代わるオンライン授業が主流となり,教材作成を含めた教授方法,オンライン学習のための環境整備,実習教育の代替方法の開発,学生のメンタルヘルス・経済状況への支援など,新たな課題が次々と押し寄せ,時々刻々と変化する課題の対応が迫られている.
日本医学教育学会では,5月下旬からサイバーシンポジウムが4回にわたり開催され,2020年6月には「パンデミック下の医学教育-現在進行形の実践報告」が特集されている.理学療法学教育においても,医学,看護学,薬学教育等での対応を参考にしつつ,理学療法学教育の特徴を踏まえた工夫と対応を重ねてきた.COVI-19下での理学療法界における初期の取り組みは,5月下旬に開かれた臨床・組織運営・教育について3つの緊急座談会をまとめた「新型コロナウイルス-各現場から,withコロナ時代の理学療法を展望する」1)に,当時の状況と率直な思いが克明に記録されている.
本稿では,2020年2-10月初旬までの理学療法学教育を取り巻く状況について,理学療法士養成課程の特徴を整理したうえで,筆者が関係している学術職能団体である日本理学療法士協会ならびに世界理学療法連盟の対応とともに,個別の教育機関の取り組みについて私見を交えて紹介する.


*名古屋大学大学院医学系研究科 予防・リハビリテーション科学
コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-4 多職種連携医療の理解を促すためのブレンド型授業でのPBLの試み

平山 朋子*1 杉山 芳生*2

はじめに
藍野大学医療保健学部は,看護学科・理学療法学科・作業療法学科・臨床工学科の4学科で構成されている.開校当時より多職種連携の医療を実践できる人材育成を目指し,4学科混合・学年混合で学ぶ「シンメディカル」という科目をカリキュラムに組み込んでいる.この授業は,従来,Problem-Based Learning(以下,PBL)を実施する予定であったが,2020年度はCOVID-19感染拡大の影響で,対面授業でのグループワークを行うことが困難となった.この科目は,学科混合・学年混合のグループワークでの問題解決プロセスにおいて,お互いの職種を理解し合い,協働で問題解決を経験することが卒業後の多職種連携にも活かされると考え設定されている.対面授業が制限される中,例年と同じ学習成果をあげることを目標に実施した授業方法について報告する.


*1 藍野大学 医療保健学部理学療法学科
*2 京都大学大学院 教育研究科・日本学術振興会特別研究員DC
コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-5 2020年度4年次作業療法学生の作業療法総合臨地実習とそれに関連した学習支援

谷村 厚子* 小林 法一* 石井 良和*

はじめに
本学は4年制総合大学であり,健康福祉学部 作業療法学科は,1学年40名,計160名程度の学生数であるが,1年次は南大沢キャンパス,2年次以上は荒川キャンパスを利用する.2020年9月現在,本学では手指消毒とマスク着用,密閉,密集,密接の三密を回避する環境と行動,体調管理を基本的な対策とし,後期はオンライン授業を基本に,対面授業とのハイブリットの方法を検討し準備している.この新しい生活様式構築の最中に,本稿では,今回の特集「コロナ禍における医療系教育」として2020年度に学部の最高学年を迎えた本学の4年次作業療法学生の作業療法総合臨地実習とそれに関連した学習支援について振り返り,臨場感を持ってお伝えしたい.


*東京都立大学 健康福祉学部作業療法学科
コロナ禍における医療人育成
【4 理学療法・作業療法領域】
4-6 パンデミック下の医療福祉系大学における人類学の遠隔教育の試み

飯田 淳子*

はじめに
全国の大学が始業を延期する中,川崎医療福祉大学では感染防止対策をとった上で,2020年4月6日から対面授業を一旦開始した.しかし翌日の緊急事態宣言およびその後の対象地域拡大に伴い,対面授業は2週間でストップした.一部の専門科目を遠隔授業で行う以外全科目休講後,5月7日から授業が再開された際には,基礎教育科目は原則として録画配信方式の遠隔授業,専門科目は録画配信または同時双方向方式の遠隔授業とされた.遠隔授業の実施が困難な演習・実技・実習科目は,学内の人数を2割以下に制限したうえで学内で行うか,実習先施設が実習生を受け入れてくれる場合は現地での実習となった.
当初,岡山県では感染者が少なかったこともあり,本学では4月初旬の時点では,むしろ学内の感染防止対策に注力していた.しかし上記のように遠隔授業に舵を切ることが明らかになると,対面授業と同時並行で教務課や教務部,総合教育センター,大学運営委員会,そして情報系の教員を中心として協議を繰り返し,方針を教職員に伝達していった.4月は学内のLMS(Learning Management System)やMicrosoft Teams,Zoom等のオンライン・ツール,個人情報保護・著作権等に関する研修が連日開催された.それに加えて学科ごとにツールの体験会を行ったり,親しい者同士で助け合ったりしながら,教職員は遠隔授業への対応に追われた.
この間,いくつかの試行錯誤や方針転換はあったものの,5月からの遠隔授業は以下のような方針で行われることとなった.全学生と教員がMicrosoft Teamsを使用し,授業動画はMicrosoftのStreamで配信する.同時双方向式の場合はTeamsまたはZoomのウェブ会議システムを用いる.合わせて学内のLMSで教材配布や課題のやりとりを行う.LMSとして,本学ではMoodleを使用している.
以下に述べるのは,筆者が担当する人類学(文化人類学・医療人類学入門)の遠隔授業の試みと,その中で気づいたことである.本学において人類学は基礎教育科目の選択科目に位置づけられている.専門科目や必修科目ではない講義科目であるが,分野を超えて共有できる点もあるのではないかと考え,記述していきたい.


*川崎医療福祉大学 医療福祉学部
実践報告―新たな試み―
コミュニケーションエラー体感型ボードゲームを用いた
卒前医療安全教育の試み

前田 佳孝*1 淺田 義和*2 鈴木 義彦*1 川平 洋*1

要旨:
背景:臨床未経験の学生は臨床でのコミュニケーションエラーを想像しづらく,その早期からの教育が難しい.そこで,学生の理解を促すため,ボードゲーム(BG)を開発し,実践した.
方法:BGは患者名が記されたボードと,薬品名等が書かれたカードから成る.学生は教員の指示に従ってカードをボードに置く.指示には実際の事故例に基づくトラップを複数含め,学生にエラーを体験させた.
省察:本BGは学習内容を単純化し,楽しく学ばせるゲーム要素と,事故例を基にエラーを忠実に再現したシミュレーション要素を含む.この両立により,臨床未経験者への安全教育でもARCSモデルの各要素をバランスよく感じさせられた可能性がある.
キーワード:医療安全教育,ボードゲーム,ゲーミングシミュレーション,学生教育

A Case Report on Using a Board Game in Undergraduate Patient Safety
Education to Enable Communication Error Experiences

Yoshitaka MAEDA*1  Yoshikazu ASADA*2  Yoshihiko SUZUKI*1 Hiroshi KAWAHIRA*1

Abstract:
Introduction: It is important to educate undergraduates about communication errors in clinical sites, but it is difficult for clinically inexperienced students to imagine those errors. Therefore, in this study, a board game (BG) was developed and put into practice to encourage students’ understanding.
Methods: The BG consists of a board on which the patient’s name is written and cards on which drug names are written. Students place cards on the board according to the teacher’s instructions. These instructions include multiple traps based on actual incident cases.Through the game, students experience errors.
Reflection: This BG contains gamification elements that make learning contents simple and fun and simulation elements that reproduce errors with high fidelity. By combining these elements, it is possible for each aspect of the ARCS model to be provided in a well-balanced manner even in patient safety education for clinically inexperienced students.
Keywords: patient safety education, board games, gaming simulation, undergraduate education


*1 自治医科大学 メディカルシミュレーションセンター,Medical Simulation Center, Jichi Medical University
*2 自治医科大学 情報センター IR部門,IR Section, Center for Information, Jichi Medical University
実践報告―新たな試み―
臨床研修指導医講習会における医学教育ケースカンファレンスの試み

木村 武司*1 種村 文孝*2 近藤 猛*3 錦織 宏*2,4

要旨:
臨床研修指導医講習会において,個別の教育実践ケースの発表から実際の教育現場で抱えている諸問題を議論する医学教育ケースカンファレンスを行った.開催2カ月前から準備をし,当日は4つのケースを扱った.筆者らは,教育現場の実践に医学教育学の言葉を付与し,理論や概念的枠組みを結びつけ,受講者に臨床研修の現場で起こっている事象の理解を深めるよう努めた.本試みは教育実践を通じて医学教育学の知見を学ぶだけでなく,診療科横断的な教育に関連する実践共同体の構築に寄与する可能性を示した.そこでは,実践の背景や文脈を考慮しながら理論と適切につなぐ「通訳者」の存在が鍵となり,今後はその人材育成も課題である.

Educational problem-solving conference as work-based faculty development

Takeshi KIMURA*1 Fumitaka TANEMURA*2 Takeshi KONDO*3 Hiroshi NISHIGORI*2,4

We conducted a case conference to solve problems in teaching practices and for clinician teachers to discuss various issues occurring in the field.  The conference was based on the presentation of individual educational practice cases from faculty development workshops approved by the Ministry of Health, Labor and Welfare. We prepared two months before the event and dealt with four cases on the day of the event. During the discussion, we tried to link educational problems with a theory or a conceptual framework in medical education so that participants, including case presenters, would have a better understanding of clinical training settings. In addition, communication across disciplines was facilitated through discussions. This attempt has the potential to contribute to the development of a community of practice related to cross-disciplinary education. The key to success for this case conference was the "interpreter" role.  The person in that role considers the background and context of practice and links practice with theory appropriately. In addition, faculty development for educators who can play the role will also be an issue in the future.
Keywords: postgraduate clinical training, faculty development, educational problem-solving conference


*1 京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター,Integrated Clinical Education Center, Kyoto University Hospital
*2 京都大学大学院医学研究科 医学教育・国際化推進センター,Medical Education Center, Graduate School of Medicine, Kyoto University
*3 名古屋大学医学部附属病院 卒後臨床研修・キャリア形成支援センター,Center for Postgraduate Clinical Training and Career Development, Nagoya University Hospital
*4 名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学教育センター,Center for Medical Education, Graduate School of Medicine, Nagoya University
プロフェッショナリズム教育方略 連載第9回
9.有意事象分析Significant Event Analysis

野村 英樹*

要旨:
有意事象分析Significant Event Analysis(SEA)は,物事が起こった原因を半構造的に振り返り,以降の改善策の立案に活かす手法であり,多種多様な事象に対して適用することが可能である.医療分野においても,英国などを中心に組織による患者安全促進のためのツールとして広く用いられているが,本邦においては個人の行動を主として行為の主体者自身が振り返り(省察reflection),学びを得るためのツールとして用いられることが多い.第三者による観察結果と異なり,自ら振り返った結果は否定することができないため,この方法は特に行為者が大きく感情を動かされた事象に適している.
今回の第1の論文は個人の振り返りを本人の行動の改善に活かす個別SEAを提示しており,第2の論文は,個人の省察から得られた学びをグループで共有するグループSEAを紹介している.
キーワード:有意事象分析,反省的実践,アンプロフェッショナルな行動,非行,再教育

Hideki NOMURA*

Abstract:
Significant event analysis (SEA) is a method of reflecting on the cause of things in a semi-structural manner and utilizing it in the planning of subsequent improvement measures, and can be applied to a wide variety of events. In the field of medicine, it is widely used as a tool for promoting patient safety by medical teams in nations such as the United Kingdom; in Japan, the subject of the act mainly reflects on its own behavior (reflection) to learn from his/her experience. Unlike the results of observations by third parties, the results of self-reflection cannot be denied, so this method is particularly suitable for events in which the actor had been greatly moved emotionally.
The first paper introduces group SEA method to share lessons learned from individual reflections; the second paper presents individual SEA method that utilizes individual reflection to improve its own behavior.
Keywords: significant event analysis,reflective practice,unprofessional behavior,misconduct,remediation


*金沢大学附属病院 総合診療部,Department of General Medicine, Kanazawa University Hospital
プロフェッショナリズム教育方略 連載第9回
9.1 非行misconductが認められた学習者の
再教育remediationツールとしてのSEA

野村 英樹*

Practice of Significant Event Analysis as a Vehicle of
Remediation for Learners with Recognized Misconducts

*金沢大学附属病院 総合診療部,Department of General Medicine, Kanazawa University Hospital
委員会報告:プロフェッショナリズム教育方略 連載第9回
9.2 勤医協中央病院初期研修プログラムにおける
SEA(Significant Event Analysis)の実践

臺野 巧*

Practice of Significant Event Analysis for
Junior Residents at Kin-ikyo Chuo Hospital

Takumi DAINO*


*勤医協中央病院,Kin-ikyo Chuo Hospital
紀伊國献三先生を偲んで
日本と世界の医学教育の架け橋であった紀伊國先生

東京女子医科大学名誉教授,元医学教育振興財団参与 神津 忠彦

In Honor of KENZO KIIKUNI

Mitchell T. RABKIN, M.D.
CEO Emeritus, Beth Israel Deaconess Medical Center Professor of Medicine, Harvard Medical School


―紀伊國献三先生を偲んで―――――――――――――――――――――――――
公益財団法人医学教育振興財団 公益財団法人 日中医学協会 学校法人 順天堂
小川 秀興
―紀伊國献三先生を偲ぶ――――――――――――――――――――――――――
日本医学教育学会 名誉会員
細田 瑳一
―紀伊國献三先生のご逝去を悼んで―――――――――――――――――――――
聖路加国際病院
福井 次矢
―紀伊國献三先生を悼む――――――――――――――――――――――――――
医療系大学間共用試験実施評価機構
齋藤 宣彦
―紀伊國献三先生の思い出―――――――――――――――――――――――――
愛知医科大学 医学教育センター シミュレーションセンター
伴 信太郎
―紀伊國献三先生を偲ぶ――――――――――――――――――――――――――
日本医学教育学会理事長 京都大学 医学教育・国際化推進センター
小西 靖彦
―紀伊國献三先生を偲ぶ―――――――――――――――――――――――――
前東京女子医科大学
上塚 芳郎
―紀伊國献三先生の思い出―――――――――――――――――――――――――
東京医科大学 医学教育学分野・総合診療科
大滝 純司
―紀伊國献三先生を偲んで―――――――――――――――――――――――――
愛知医科大学 医学教育センター シミュレーションセンター
伴 信太郎
―紀伊國献三先生の思い出―――――――――――――――――――――――――
筑波大学 医学医療系地域医療教育学
前野 哲博
―紀伊國先生,次の世代に教育のタスキをつなぎます―――――――――――――
順天堂大学大学院医学研究科 医学教育学
武田 裕子
第77回e医学教育セミナーとワークショップ

岐阜大学 医学教育開発研究センター 今福 輪太郎

『医学教育研究室の抄読会から』第4回

木村 武司*1 錦織 宏*2,3


*1 京都大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター,Integrated Clinical Education Center, Kyoto University Hospital

*2 京都大学大学院医学研究科 医学教育・国際化推進センター,Medical Education Center, Graduate School of Medicine, Kyoto University
*3 名古屋大学大学院医学研究科 総合医学教育センター,Center for Medical Education, Graduate School of Medicine, Nagoya University
心理学者との積極的な交流を:医学教育の発展への提言

和田 剛宗*

Wada Yoshimune


*新潟リハビリテーション大学 医療学部リハビリテーション学科リハビリテーション心理学専攻
宮崎大学医学部附属病院
University of Miyazaki Hospital

小松 弘幸(卒後臨床研修センター長)

大阪府済生会茨木病院
Osaka Saiseikai Ibaraki Hospital

松島 由美(副院長,内科系診療部長,臨床研修プログラム責任者)

松江赤十字病院
Matsue Red Cross Hospital

垣羽 寿昭(臨床研修プログラム責任者)

公益社団法人臨床心臓病学教育研究会
Japanese Educational Clinical Cardiology Society(JECCS)

木野 昌也(会長)

香川大学医学部附属病院
Kagawa University Hospital

南野 哲男(卒後臨床研修センター長)

国立病院機構 呉医療センター
Kure Medical Center

水之江 知哉(臨床研修センター部長)

一般社団法人 日本医学教育学会 リーフレット

第53回日本医学教育学会大会

J-STAGE

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認定医学教育専門家資格制度

一般社団法人 日本医学教育評価機構(JACME)

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