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学会誌

論文抄録

『医学教育』46巻・第5号【抄録】2015年10月25日

INDEX
教育
実践研究
指導医の患者家族面談から研修医はなにを学んでいるか
〜救急外来研修中の重症高齢患者診療についての質的研究〜
…入江 仁,加藤 陽一,安 炳文,山畑 佳篤,太田 凡,山脇 正永
教育
実践研究
国際的シミュレーション指導者教育プログラムの日本人受講生に対する教育効果:
Fundamental Simulation Instructional Method(FunSim)
受講者サーベイより
…赤嶺 陽子,Benjamin W. BERG,Mari NOWICKI,大内 元,阿部 幸恵
短 報 地域枠及び一般枠医学生の地域医療に対する認識の比較調査
…大口 明日海,北村 悠,長瀬 大,水野 敬悟
恒川 幸司,今福 輪太郎,村上 啓雄,西城 卓也
短 報 全国の大学医学部・医科大学付属病院(本院)での初期研修医の総合診療の外来研修に関する調査
―現状と今後の課題―
…原田 芳巳,平山 陽示,和久田 佳奈,大滝 純司
掲示板 意見:カナダの地域医療人育成
〜Northern Ontario School of Medicine 訪問〜
…中桶 了太,浜田 久之,原田 直樹,今立 俊輔,調 漸
掲示板 精神科病院における臨床実習が作業療法学生に与える影響
…西田 津紀子,西村 良二
掲示板 意見:非眼科医の眼科診察における学習目標に関しての考察
…加藤 浩晃,錦織 宏
掲示板 意見:臨床医による医学教育Project Based Learningの試み
〜きょういく?カフェ〜
…柴田 綾子,近藤 猛,渋谷 純輝,片岡 裕貴,小林 正尚,荘子 万能
掲示板 社会医療法人宏潤会大同病院における臨床研修病院としての取り組み
…服部 良信,水野 美穂子,野々垣 浩二,小鹿 幸生
宇野 雄佑,藤中 憲二,小谷 勝祥
掲示板 意見:全国医学部のeポートフォリオ利用状況調査
…門川 俊明,ブルーヘルマンス ラウール,淺田 義和,平形 道人
掲示板 意見:女性医師のキャリア教育:日本の将来的なヴィジョンとは?
…加藤 大貴
掲示板 意見:女性医師キャリア教育における学習目標とロードマップの問題点
…賀來 敦
- 第47回日本医学教育学会大会の運営報告
…鈴木 利哉
指導医の患者家族面談から研修医はなにを学んでいるか
〜救急外来研修中の重症高齢患者診療についての質的研究〜

入江 仁*1 加藤 陽一*2 安 炳文*2 山畑 佳篤*2 太田 凡*2 山脇 正永*1

要旨:
背景:わが国では心肺停止状態を含む重症の高齢患者が救急外来に来院した場合,来院後まもなく人工呼吸器装着などの積極的治療の適否を決めざるをえないことがある.この問題を初期研修医がどう認識しているかを探索的に調査し,より効果的な研修方法を提案する.
方法:初期研修修了時の研修医に対し半構造化インタビューを行い,質的解析を行った.
結果:研修医は患者家族に指導医が行う面談をもとに<医師が決める面談>または<中立的な面談>のいずれかを好むようになる傾向がみられ,面談の見学が与える影響が大きいことが示唆された.
考察:指導医は研修医が救急外来で治療方針に関する面談を見学する機会を積極的に設けるべきである.
キーワード:臨床判断,初期研修医,救急外来,高齢者救急,質的研究


*1 京都府立医科大学総合医療・医学教育学教室,Department of Medical Education & Primary Care, Kyoto Prefectural University of Medicine
[〒602-8566 京都府京都市上京区河原町広小路上る梶井町465]
*2 京都府立医科大学救急医療学教室,Department of Emergency Medicine, Kyoto Prefectural University of Medicine
受付:2014年5月20日,受理:2015年6月18日
国際的シミュレーション指導者教育プログラムの日本人受講生に対する教育効果:
Fundamental Simulation Instructional Method(FunSim)
受講者サーベイより

赤嶺 陽子*1 Benjamin W. BERG*1 Mari NOWICKI*1 大内 元*2 阿部 幸恵*3

要旨:
目的:SimTikiシミュレーションセンターの日本人対象国際的シミュレーション指導者養成コース(Fundamental Simulation Instructional Method: FunSim)のアウトカムと日本人参加者にとってのシミュレーション教育導入の障壁を明らかにする.
方法:73項目から構成されるウェブベースのアンケート調査.教育効果の評価にはKirkpatrickモデルを用いた.レベル1(反応)とレベル2(コンピテンシー,学習)の質問では7段階Likert scaleを用い,レベル3(行動変容)の質問では4つの「はい」または「いいえ」で答える質問を用いた.障壁については,12項目を5段階Likert scaleで評価した.
結果:283人中,178人(63%)が回答.受講言語は英語47.8%,日本語57.3%であり,「言語障壁があった」と回答した人数に両群間で有意差は認めなった.レベル1(コースへの反応)では,「内容は役に立ったか」を問う質問に対して88%が7段階中5以上と回答し,レベル2(自信とコンピテンシー)を問う質問では,「受講直後」よりも「現在(アンケート調査時)」において有意に低下した(P<0.05).レベル3(行動変容)を問う質問では,受講前後のシミュレーション教育活動を行っている人数は68人から112人へ有意に増加した(P<0.001).シミュレーション教育導入の障壁は「施設・専用の部屋」に比較して,「シミュレーションスペシャリストの確保」,「指導,指導者育成のための時間確保」,「十分な指導教育を受けた指導者数」,「施設内での指導者育成」,「自分自身の指導技術」において有意にスコアが高かった.
考察:FunSim受講者のコースに対する反応は概ね良好であった.受講時の言語障壁は明らかではなかった.受講者の施設でのシミュレーション教育導入の障壁に関して,多くの受講者は人的要因が問題であると回答した.仕事量軽減や適切な人材確保など,組織全体を巻き込んだシステム構築が今後の課題である.
キーワード:シミュレーション,指導者教育,国際的,教育効果,日本


*1 SimTiki Simulation Center, John A. Burns School of Medicine, University of Hawaii Manoa
[MEB-212, 651 Ilalo Street, Honolulu, HI, 96813-5534]
*2 琉球大学医学部付属病院救急科,Department of Emergency Medicine, University Hospital, University of the Ryukyus
*3 東京医科大学病院シミュレーションセンター,Tokyo Medical University Hospital Simulation Center
受付:2015年3月11日,受理:2015年6月19日
地域枠及び一般枠医学生の地域医療に対する認識の比較調査

大口 明日海*1 北村 悠*1 長瀬 大*1 水野 敬悟*1 恒川 幸司*2 今福 輪太郎*2
村上 啓雄*3 西城 卓也*2

要旨:
地域医療への志向性や診療科選択について地域枠学生と一般枠学生の比較をした意識調査は少ない.本研究は岐阜大学医学部医学科の1〜5年生を対象に,将来働きたい勤務地や医療機関,希望する診療科,地域医療のイメージに関する質問紙調査を行った.欠損値のない回答者335名(地域枠:一般枠=81:254)を分析対象にした.一般枠学生に比べて地域枠学生は,都市部より地方の中核・小規模病院での勤務を希望し,小児科のようなプライマリ・ケアの要素が強い診療科を希望した.また,学年を通して地域医療にポジティブなイメージを抱いていた.今後は,卒後,地域枠学生が実際にどのように地域医療に従事していくのか追跡する必要がある.
キーワード:地域志向性,診療科選択,地域枠


*1 岐阜大学医学部医学科,Gifu University School of Medicine
*2 岐阜大学医学教育開発研究センター,Gifu University Medical Education Development Center
[〒501-1194 岐阜市柳戸1番1]
*3 岐阜大学医学部附属地域医療医学センター,Center for Regional Medicine, Gifu University School of Medicine
受付:2015年1月7日,受理:2015年8月10日
全国の大学医学部・医科大学付属病院(本院)での初期研修医の総合診療の外来研修に関する調査
―現状と今後の課題―

原田 芳巳*1 平山 陽示*1 和久田 佳奈*1 大滝 純司* 2,1

要旨:
プライマリ・ケアの基本的な診療能力を修得するには外来研修を行うことが必要と考えられる.しかし外来研修の実態は明らかにされていない.全国大学病院の初期研修医の総合診療の外来研修に関する調査を行った.
全国の大学医学部付属病院(本院)80施設を対象に,初期研修医の外来研修について質問紙調査を行い,39施設から回答を得た.初期研修医の外来研修を行っている病院は34施設あり,そのうち,診療時間内の外来研修を行っているのは26施設であった.関連病院との “たすき掛け” で外来研修を補完している施設もみられた.問題点として頻度の高い疾患の患者が少ないことを,今後の課題に地域との連携を挙げる施設が多く見られた.
キーワード:プライマリ・ケア,臨床研修,外来研修


*1 東京医科大学医学部医学科総合診療医学分野,Tokyo Medical University School of Medicine, Department of General Medicine and Primary Care
[〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目7-1]
*2 北海道大学大学院医学研究科医学教育推進センター,Hokkaido University Graduate School of Medicine, Center for Medical Education
受付:2015年5月14日,受理:2015年9月12日
意見:カナダの地域医療人育成
〜Northern Ontario School of Medicine 訪問〜

中桶 了太*1,2 浜田 久之*3 原田 直樹*4 今立 俊輔*5 調 漸*1,2

要旨:
カナダは広大な国土ゆえにへき地や遠隔地が多い.このような地域を支える医師の育成がNorthern Ontario School of Medicine(NOSM)で2005年から開始された.4年間の医学部カリキュラムのうち1,2年次には4週間のへき地のコミュニティー滞在実習が2回実施され,3年次は8ヶ月間の地域の医療機関に滞在しての臨床実習を行う.このように学外での実習が大幅に取り入れられている.また,入試でも面接などで地域指向性の高い者を優先して選抜している.その結果,卒業生の約70%が北部オンタリオに残り勤務をしている.教育体制の整備により地域の医療機関での学びと人材育成の可能性を感じた. 


*1 長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構,Organization of Rural Medicine and Resident Education, Nagasaki University Hospital
[〒859-5393 平戸市草積町1125-12]
*2 長崎大学保健・医療推進センター,Center for Health and Community Medicine, Nagasaki University
*3 長崎大学病院医療教育開発センター,Medical Education Development Center, Nagasaki University
*4 国民健康保険平戸市民病院,National Health Insurance Hirado Municipal Hospital
*5 国立病院機構長崎医療センター総合診療科,National Hospital Organization Nagasaki Medical Center
受付:2004年4月30日,受理:2015年7月15日
精神科病院における臨床実習が作業療法学生に与える影響

西田 津紀子*1 西村 良二*2

要旨:
福間病院で長期臨床実習を行った作業療法学生11名を対象に,当院で提示している課題が学生の教育にもたらす効果について調査した.結果は,知識面では過去の国家試験問題を再編成し利用したところ,実習の前後で有意差はみられなかった.技能面ではLASMIの「対人関係」と「労働または課題の遂行」の項目を利用し,「対人関係」では有意差(p<0.01)が認められ,「労働または課題の遂行」では改善の傾向がみられた(p<0.10).態度面ではATDPを利用し,山本らが抽出した3因子について比較した結果,第2因子「能力の否定」について否定的な態度への変化に傾向がみられた(p<0.10).今回の結果から当院で提示した課題がどの程度影響を与えたかについて考察し,今後の臨床実習についていくつかの提言をした.
キーワード:教育,作業療法学生,精神科作業療法,臨床実習


*1 福間病院,Fukuma Hospital
[〒811-3295 福岡県福津市花見が浜1-5-1]
*2 福岡大学病院,Fukuoka University Hospital 
受付:2014年7月18日,受理:2015年8月28日
意見:非眼科医の眼科診察における学習目標に関しての考察

加藤 浩晃*1,2 錦織 宏*2

要旨:
医学生,初期研修医やプライマリ・ケア医の学習目標の指針である,医学教育モデル・コア・カリキュラムや卒後臨床研修制度における臨床研修の到達目標,日本プライマリ・ケア連合学会基本研修ハンドブックにおいて眼底診察の必要性が述べられてい
るが,眼底診察に比べると前眼部診察を行う機会が多く,非眼科医の眼科診療における学習目標として眼底診察よりも,角膜,結膜,水晶体,眼瞼を診察する前眼部診察をより重視する必要があると考える.


*1 京都府立医科大学眼科学教室,Department of Ophthalmology, Kyoto Prefectural University of Medicine
[〒602-0841 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465番地]
*2 京都大学医学教育推進センター,Center for Medical Education, Kyoto University
受付:2015年4月6日,受理:2015年7月20日
意見:臨床医による医学教育Project Based Learningの試み
〜きょういく?カフェ〜

柴田 綾子*1 近藤 猛*2 渋谷 純輝*3 片岡 裕貴*4 小林 正尚*5 荘子 万能*6


*1 淀川キリスト教病院,Yodogawa Christian Hospital
[〒533-0024 大阪市東淀川区柴島1丁目7番50号,sibata700@gmail.com]
*2 名古屋大学大学院医学系研究科総合医学専攻発育・加齢医学講座総合診療医学分野,Department of General Medicine/ Family & Community Medicine, Nagoya University Graduate School of Medicine
*3 武蔵国分寺公園クリニック,Musashi-Kokubunji Park Clinic
*4 兵庫県立尼崎総合医療センター,Hyogo Prefectural Amagasaki General Medical Center
*5 奈良県立医科大学附属病院総合診療科,Department of General Medicine Nara Medical University
*6 大阪医科大学医学部医学科,Osaka Medical College
受付:2015年6月20日,受理:2015年6月27日
社会医療法人宏潤会大同病院における臨床研修病院としての取り組み

服部 良信* 水野 美穂子* 野々垣 浩二* 小鹿 幸生* 宇野 雄佑* 藤中 憲二* 小谷 勝祥*

要旨:
臨床研修病院は,優れた指導医,充実したプログラムや指導・評価のシステムおよび整備された研修環境が求められる.社会医療法人宏潤会大同病院では,優れた臨床研修指導医を育成するために,第1回大同病院臨床研修指導医講習会を単独で開催した.
同年12月12日には卒後臨床研修評価機構を受審し,研修病院として更なる改善の機会を得た.平成27年3月7日には大同病院単独でOSCEを開催し,臨床研修指導医,指導者が臨床評価・指導に必要な能力の習得ができた.大同病院が優れた臨床研修病院になるための努力,「優れた指導医の養成,研修環境の充実・整備への改善,研修医が習得した臨床能力の評価」を,継続して行っている.
キーワード:臨床研修病院,卒後臨床研修評価機構,客観的臨床能力試験(OSCE)


*社会医療法人宏潤会大同病院,Kojunkai Daido Hospital
[〒457-8511 名古屋市南区白水町9番地]
受付:2015年7月31日,受理:2015年8月7日
意見:全国医学部のeポートフォリオ利用状況調査

門川 俊明*1 ブルーヘルマンス ラウール*2 淺田 義和*3 平形 道人*1

要旨:
背景:eポートフォリオ(ePF)の医学教育での重要性が高まっている.
方法:全国医学部の医学教育ユニットに調査を依頼し,webフォームで回答を得た.
結果:回答のあった70大学のうち,ポートフォリオ導入は紙媒体が16,電子媒体が14,両者が8,未導入が32大学であった.Mahara,manaba folio,WebClassが多く,臨床実習などで導入されていた.ePFは,タイミングのよいフィードバックができ,データの保存性がよい.一方で,教員や管理者の負担,インフラ整備などの問題がある.医学教育に適したePFシステムがない.
考察:医学教育で共通して使えるePF環境を構築することが望まれる.
キーワード: ポートフォリオ,eポートフォリオ,医学教育


*1 慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター,Medical Education Center, Keio University School of Medicine
[〒160-8582東京都新宿区信濃町35]
*2 東京医科大学医学教育学分野,Department of Medical Education, Tokyo Medical University
*3 自治医科大学医学部メディカルシミュレーションセンター,Medical Simulation Center, Jichi Medical University
受付:2015年6月21日,受理:2015年8月14日
意見:女性医師のキャリア教育:日本の将来的なヴィジョンとは?

加藤 大貴*


* マウントサイナイ・ベスイスラエル内科
意見:女性医師キャリア教育における学習目標とロードマップの問題点

賀來 敦*


* 社会医療法人清風会岡山家庭医療センター,Family Practice Center of Okayama
[〒708-1323 岡山県勝田郡奈義町豊沢292-1]
受付:2015年8月4日,受理:2015年8月7日
第47回日本医学教育学会大会の運営報告

鈴木 利哉*


* 第47回日本医学教育学会大会実行委員長、新潟大学

J-STAGE

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