日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会
Mini-CEXは卒前医学教育のガイドラインである「令和4年度改訂版医学教育モデル・コア・カリキュラム(以後、医学教育コアカリ)」で、学習評価方法、とくに診療参加型臨床実習における評価方法として、重視されています。
なぜなら、同ガイドラインの第1章、第2章で掲げられている、「医師として求められる基本的な資質・能力」とそれに紐付いた個別の学習目標に、臨床現場における実践能力を、卒前医学教育を修了した時点でも、ある程度獲得すべきことが明記してあるからです。
第3章学習方略・評価では、Mini-CEXのような臨床現場での観察評価の概念や考え方が書かれております。
また、診療参加型臨床実習実践ガイドラインでは「学習と評価の記録」にMini-CEXの具体的な実施基準が書かれており(医学教育コアカリのp203~204)、医学教育コアカリのp240にはMini-CEXの評価票の例が載っております。
p203、4.Mini-CEX評価者向けの説明例
p240.Mini-CEX評価票
令和4年度改訂 医学教育モデル・コア・カリキュラムp240
医学教育コアカリ(令和4年度改訂版)の評価票を詳しく見てみましょう。
まず中段の評点のパートをご覧ください。
この赤線の7つの評価項目について、6段階尺度で評価することとなります。先ほど解説したように評価尺度4の「臨床実習修了時(卒業時)レベル」に到達しているかを、最低限の修了基準として評価する際、何を根拠とすればよいのでしょうか。
令和4年度改訂 医学教育モデル・コア・カリキュラムp240
次に上段のパートを見ましょう。
Mini-CEXの評価を行う際、症例の設定、症候の種類、症例の複雑さを考慮したほうがよいことを述べました(「2)Mini-CEXを用いた評価の基本的な考え方」)。医学教育コアカリ(令和4年度改訂版)の評価票でも、同様の記載欄がありますが、医学生として最低限獲得すべき能力(尺度4)を満たすか否かは、症例の複雑さによっても規定されるかもしれません。どのような配慮が必要でしょうか。