学生・研修医・医療者教育指導者のための学修者評価ガイド
~理論と実践~

日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会

第1章教育現場でコンピテンシーとEPAsを評価する際の理解のために

1) 基本編

(9) コンピテンシーとEPAsの評価

 コンピテンシーはマイルストーンで評価することはお示ししました。マイルトーンは現場での具体的な実践内容を反映したものではないことも多く、コンピテンシーをマイルストーンを用いて現場でうまく評価に用いることができないためにEPAsという概念が出現したという話をしました。

 EPAsはどのように評価して、それをどのようにマイルトーン評価と結び付ければよいでしょうか?次の章では現場での評価(Workplace-based Assessment)、特にMiniCEXについて学びますが、現場での具体的な到達目標として設定されたEPAsは現場でMiniCEXを含む様々なWorkplace-based Assessmentを用いて評価されます。ひとつひとつのEPAsは複数のコンピテンシーを包含していることになりますから、複数のEPAsを妥当に評価をすることができればその背景にあるコンピテンシーも評価することができます。

 下図のように背景にコンピテンシーを包含しているEPAsを現場に合わせて設定します。そのEPAsを様々なWorkplace-based Assessmentを用いて評価をします。そして、様々なWorkplace-based Assessmentや評価されたEPAsを評価材料としてあらかじめ設定されたマイルストーンのレベルが達成されたかどうかを評価することで現場の業務の修得を通して医師としてのコンピテンシーを修得したことを担保するように進めることになります。そして、現場で集められたEPAsを修めた証拠となるWorkplace-based Assessmentなどをまとめてポートフォリオと呼ぶことができます。