学生・研修医・医療者教育指導者のための学修者評価ガイド
~理論と実践~

日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会

第1章教育現場でコンピテンシーとEPAsを評価する際の理解のために

1) 基本編

(8) EPAsのレベル設定

 EPAsは現場での実践目標(=業務目標)であるのでもちろん、カリキュラムを履修する学習者のレベルに応じて設定する必要があります。

 EPAsのオリジナルではEntrustable、つまり、単独で信頼して任せられる業務能力を記載するとされています。

 さらに北米を中心に卒前…つまり、法的に制度上、医行為が単独では許されていない学習者にも用いられるようになったため、Entrust Levelというものが開発されました。Entrust Levelとは一人で任せられないような業務であっても指導者の監督の下で…指導者がすぐに駆けつけられる状況下で…などのように条件を付けることで可能にする方法です。

 EPAsはカリキュラム修了時に一人で任せられることを前提とした具体的レベルで記載する方法:「初診外来ができる」とEPAsを考えたとしても業務としての実際のEPAsは学生ができるレベル:初診の患者さんから医療面接ができる、初期研修医ができるレベル:初診の患者さんから医療面接をし、身体所見をとった上で検査計画が立てられる…など学修者のレベルによってEPA自体を変えて表現する方法と難易度の高い医療業務についてはどの程度、信頼して任せられるのか…という信頼程度を記載して行う方法:初診患者さんから情報を収集し、診療計画が立てられる…などと設定し、学生であればEntrust Level2を目指し、初期研修医であればEntrust Level4を目指す…などのようにEntrust Level(下図の例)で設定する方法があるということになります。