学生・研修医・医療者教育指導者のための学修者評価ガイド
~理論と実践~

日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会

はじめに

  • 医療者教育では、学生、研修医、専攻医を評価する機会が増え、評価の重要度が高まっています。医療者の能力(コンピテンシー、EPA)を評価することは、医療者の質の担保と、教育・研修の推進に必須です。しかし、臨床能力や医療者としての適性を判定することは容易ではなく、国際的にも古くから議論され、さまざまな方法が提案・応用されてきました。それらの評価方法には教育学的な背景があり、医療者の資格認定制度等と連携して開発・応用されてきました。
  • 医療者個人の能力の評価に必要なのは、厳密な数値化でなく、さまざまな場面で発揮される行動や態度のデータの集積であり、「できる」ことの証拠に基づいて判定する作業です。指導者が学習者を観察して感じていることを記録し、学習者と共有していくのが今日の評価の基本的な考え方です。
  • 本ガイドでは、現場の学生、研修医、専攻医と指導者が達成すべき、修得すべきコンピテンシーとEPAについての概念を理解し、学修者の評価を行うためには、まず、カリキュラムにおける目標を明確にする必要性があることを理解するための情報提供を目的としています。また、指導者の皆様が、評価方法やツールの形式を追うのではなく、その教育学的背景を理解して効果的に利用し、評価結果を日々の教育・研修指導に活用していただくための実践的な情報提供を目的としています。その結果、学習者への効果的なフィードバックと能力の向上につながることを期待しています。