日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会
症例の複雑さ
次に、上段の「症例の複雑さ」から医学生のレベル4について考察してみましょう。医学教育コアカリ(令和4年度改訂版)で、学習者の行動や状態として示されている第2章の学習目標は、おそらくは症例の複雑さが「普通」の場合における到達目標かと思います。しかし「普通」の定義はコアカリで規定されていません。疾患自体の複雑さだけではなく、患者の社会背景の複雑さ、パーソナリティの複雑さもあるかもしれません。施設の特殊性や地域性も影響するかもしれません。したがって、全国一律の基準を作るのは難しそうです。各施設の評価者で意見交換をして擦り合わせることが現実的かと思われます。
我が国のMini-CEXの評価尺度においては、「レベル4」であるかそれ未満かを決定する際、評価者が当該症例の複雑さについて、難、普通、易のいずれを判定するかによって、評価尺度判定が変わりやすいことが予想されます。なお「難」や「易」の症例で評価した場合、できれば次は「普通」の症例で観察評価ができることが望ましいかもしれません。