『医学教育』論文抄録

『医学教育』39巻・第5号【抄録】2008年10月25日 │前号へバックナンバーへ次号へ

INDEX
Pilot
Research
The feasibility of an animal laboratory for teaching surgical techniques to medical students: Teaching in a non-clinical environment
…Hozumi TANAKA,Yoshikazu YASUDA,Alan T. LEFOR,Eiji KOBAYASHI
原 著
探索的研究
臨床研修病院における指導医の労働実態およびメンタルヘルスに関する研究
…谷口 和樹,笹原 信一朗,前野 哲博,吉野 聡,友常 祐介,富田 絵梨子
宇佐見 和哉,林 美貴子,道喜 将太郎,中村 明澄,松崎 一葉
主 張 病理学各論教育のあり方
─第95回日本病理学会教育委員会ワークショップから─
…井内 康輝,白石 泰三,清水 道生,佐々木 功典,田村 浩一,堤 寛
主 張 日本の医学系大学院−研究者養成の現状と課題
(第39回日本医学教育学会シンポジウム“日本の医学系大学院はこれでいいのか”から)
…井内 康輝,平出 敦,櫻井 勇,菅村 和夫,福井 次矢,堀 原一,堀内 三郎
報 告 コアカリキュラム導入に伴う基礎医学実習の改変
─生化学実習教育における試み─
…熊谷 晶子,玉井 幸恵,礒橋 文秀
報 告 臨床研修病院における救急科専門医の分布に関する検討
…蔵本 伸生,森本 剛,窪田 愛恵,高田 香織,前田 祐子
関 進,北田 雅,伊藤 俊之,平出 敦
報 告 初診外来におけるクリニカルクラークシップの実践報告
…広原 台,宮地 真由美,齋藤 登,野村 馨
資 料 緩和ケア・カリキュラム提言
…卒前・卒後緩和ケア・カリキュラム提言プロジェクト


The feasibility of an animal laboratory for teaching surgical techniques to medical students: Teaching in a non-clinical environment

Hozumi TANAKA*1 Yoshikazu YASUDA*3 Alan T. LEFOR*1,2,3 Eiji KOBAYASHI*1,2

Abstract
There is a need for suitable non-clinical teaching models in undergraduate medical education. This study was undertaken to demonstrate the feasibility of using an animal model to teach surgical skills to medical students. Two gastrotomies were created in each pig, and then closed using stapled and hand-sewn techniques. Animals were sacrificed seven days later and the closures examined grossly and histologically.
1) Medical students, as surgeons with minimal experience, are able to significantly reduce the time needed to perform closure of a gastrotomy in a porcine model using surgical staplers compared to a hand-sewn closure.
2) Medical students can perform advanced abdominal surgery techniques with adequate instruction resulting in excellent surgical outcomes in a porcine model.
3) The porcine model is a valuable tool to teach animal ethics as well as basic surgical techniques in the non-clinical environment and may help to increase interest among students in a surgical career.
Key words: animal laboratory, porcine model, medical students, surgical technique

*1 Center for Experimental Medicine, Jichi Medical University, Yakushiji 3311-1 Shimotsuke City, Tochigi, Japan 329-0498
*2 Division of Curriculum Development, Jichi Medical University
*3 Department of Surgery, Jichi Medical University
Submission: January 29,2008, Accept: May 22,2008


臨床研修病院における指導医の労働実態およびメンタルヘルスに関する研究

谷口 和樹*1 笹原 信一朗*1 前野 哲博*1 吉野 聡*1 友常 祐介*1 富田 絵梨子*1
宇佐見 和哉*1 林 美貴子*1 道喜 将太郎*2 中村 明澄*1 松崎 一葉*1

要旨:
2004年度に施行された新臨床研修制度以降,医師不足が社会問題となり,医師,病院勤務医における過酷な勤務実態の影響が指摘されている.今回われわれは多施設の研修指定病院において,直接研修医の指導に当たる指導医479名を対象として,労働時間,当直回数や業務内容などの労働環境とメンタルヘルスについて質問紙法を用いて実態調査した.
1) 2004年度に全国8箇所で開催された指導医養成講習会およびプログラム責任者養成講習会に参加した大学病院勤務医および研修指定病院勤務医を対象に調査を実施した. 
2) 新臨床研修制度開始後も指導医は平均月あたり100時間を越える時間外労働に従事しており,2割以上の指導医は月160時間以上にも及ぶ時間外労働を行っていた.
3) 精神的健康度に関しては,指導医の2割以上が抑うつ傾向を呈していた.
4) 臨床研修内容を一層充実させ,よりよい教育体制を構築するために,診療業務の軽減,勤務内容の配慮などにより,臨床研修指定病院勤務医の労働環境を改善する必要性があると考えられた.
キーワード:指導医,臨床研修指定病院,メンタルヘルス,労働時間,抑うつ

*1 筑波大学大学院人間総合科学研究科,Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
[〒305-8575 つくば市天王台1-1-1]
*2 筑波大学医学専門学群医学類,School of Medicine, University of Tsukuba
受付:2008年2月20日,受理:2008年5月22日


病理学各論教育のあり方
─第95回日本病理学会教育委員会ワークショップから─


井内 康輝*1 白石 泰三*2 清水 道生*3 佐々木 功典*4 田村 浩一*5 堤 寛*6

要旨:
1) 近年多くの大学において,病理学各論の授業は,臓器・系統別カリキュラムの中で細分化され,病理学としてのまとまりがないが,いくつかの条件が満足されるならば,この現状は容認せざるをえない.
2) 上記の条件としては,十分な病理学総論の教育時間の確保とBSLとしての病院内病理部(病理診断部内)での実習時間の確保である.
3) 各大学で工夫された病理学各論の実習として,バーチャルスライドを用いた実習,手術標本を用いたプレゼンテーション実習,病院内病理部での病理診断業務に沿った実習,などがあげられる.
キーワード:病理学総論,モデル・コア・カリキュラム,病理学各論,バーチャルスライド,臨床実習

*1 広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学,Department of Pathology, Hiroshima University Graduate School of Biomedical Sciences
[〒734-8551 広島市南区霞1-2-3]
*2 三重大学大学院医学研究科腫瘍病態解明学,Department of Pathology, Mie University Graduate School of Medicine
*3 埼玉医科大学病理学教室,Saitama Medical University
*4 山口大学医学部先端分子応用医科学講座分子病理,Department of Pathology, Yamaguchi University, Graduate School of Medicine
*5 日本医科大学付属病院病理部(現,東京逓信病院病理科),Division of Surgical Pathology, Nippon Medical School Hospital (Department of Pathology, Tokyo Teishin Hospital)
*6 藤田保健衛生大学医学部第一病理学,First Department of Pathology, Fujita Health University School of Medicine
受付:2007年6月8日,受理:2008年5月22日


日本の医学系大学院−研究者養成の現状と課題
(第39回日本医学教育学会シンポジウム“日本の医学系大学院はこれでいいのか”から)


井内 康輝*1 平出 敦*2 櫻井 勇*3 菅村 和夫*4
福井 次矢*5 堀 原一*6 堀内 三郎*7

要旨:
1) 学生に魅力ある医学系大学院教育であるために,研究の導入となる共通的な教育と,画一的でない個性的な研究指導が工夫されるべきである.
2) 臨床系大学院は従来の研究者養成大学院とは別に専門職大学院として設置したい.
3) 基礎医学振興のために,基礎医学系の大学院は教員数を考慮せずに定員を縮小し,ここへの進学者には大胆な経済的支援策をとることが望まれる.
キーワード:医学系大学院,臨床系大学院,新医師臨床研修制度,専門職大学院,基礎医学

*1 広島大学大学院医歯薬学総合研究科,Hiroshima University, Graduate School of Biomedical Sciences
[〒734-8551 広島県広島市南区霞1-2-3]
*2 京都大学大学院医学研究科附属医学教育推進センター,Kyoto University, Graduate School of Medicine, Center for Medical Education
*3 日本大学名誉教授,Nihon University, Emeritus Professor
*4 東北大学医学系研究科,Tohoku University, Graduate School of Medicine
*5 聖路加国際病院,St. Luke's International Hospital
*6 筑波大学名誉教授,Tsukuba University, Emeritus Professor
*7 岩手医科大学医学部,Iwate Medical University, School of Medicine
受付:2008年3月31日,受理:2008年5月22日


コアカリキュラム導入に伴う基礎医学実習の改変
─生化学実習教育における試み─


熊谷 晶子*1 玉井 幸恵*1 礒橋 文秀*1

要旨:
1) コアカリキュラム導入によるカリキュラム改革に伴い,生化学分野を内分泌・代謝・栄養実習としてリニューアルした.
2) 実習の意義を明確にするため,内科学教室の若手医師4名による,実習内容と実際の内科診療の関連性,学生実習経験がどのように役に立っているか等の講義を,実習説明時に導入した.
3) 実習の成績評価を明確にするために,出席,態度,レポート内容等による多項目評価法を取り入れた.さらに学期末試験を実施し,実習を総括的に評価し,合否判定を行う.
キーワード:生化学実習,ラーニングシステム,コアカリキュラム

*1 聖マリアンナ医科大学医学部生化学教室, Department of Biochemistry, St. Marianna University School of Medicine
[〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1]
受付:2007年1月22日,受理:2008年5月22日


臨床研修病院における救急科専門医の分布に関する検討

蔵本 伸生*1 森本 剛*1 窪田 愛恵*1 高田 香織*1 前田 祐子*1
関 進*1 北田 雅*2 伊藤 俊之*2 平出 敦*1

要旨:
1) マッチングに参加している施設,および日本救急医学会の救急科専門医(認定医を含む)の勤務する病院をリストアップし、上記専門医が勤務する臨床研修病院の割合を調べた.
2) マッチングに参加した臨床研修病院は全国で1072であったが,救急科専門医が勤務する臨床研修病院は546(50.8%)にすぎなかった.
3) こうした医療機関は都道府県別には沖縄県,徳島県,香川県等で多く,必ずしも大都市でこうした施設の割合が多いとはいえなかった.
キーワード:臨床研修、救急医療、救急専門医、卒後教育

*1 京都大学大学院医学研究科医学教育推進センター,Center for Medical Education, Graduate School of Medicine, Kyoto University
[〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町]
*2 京都大学医学部附属病院総合臨床・研修センター,Kyoto University Hospital Integrated Clinical Education Center
受付:2007年10月18日,受理:2008年5月22日


初診外来におけるクリニカルクラークシップの実践報告

広原 台*1 宮地 真由美*1 齋藤 登*1 野村 馨*1

要旨: 
1) 初診外来におけるクリニカルクラークシップで医学生は医療面接が問題解決, 医師患者間信頼関係に重要であることを強く認識した.
2) クリニカルクラークシップは患者にも問題なく受け入れられた.
3) 学生は医療チームの一員として楽しく診療に参加した.
キーワード:クリニカルクラークシップ,初診外来,医療面接,問題解決能力,医師患者関係

*1 東京女子医科大学総合診療科,Department of General Medicine, Tokyo Women's Medical
University
[〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1]
受付:2007年11月26日,受理:2008年5月22日


緩和ケア・カリキュラム提言

卒前・卒後緩和ケア・カリキュラム提言プロジェクト*

*プロジェクト・メンバー
庄司進一,安達勇,赤林 朗,安部睦美,井田栄一,石井千賀子,石原辰彦,家田秀明,井手宏,太田惠一朗,大田人可,長田京子,倉持雅代,黒井克昌,近藤仁,小泉俊三,後藤英司,佐藤 健,斎藤龍生,佐藤禮子,白土辰子,銭谷幹男,冨田英津子,中木高夫,奈良信雄,西山玲子,西立野研二,西村幸祐,長谷川朝子,長谷方人,原敬,比嘉勇人,松原貴子,松崎圭祐,宮本祐一,山形謙二,安井猛,若村智子,渡辺孝子,渡辺敏