日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会
Mini-CEXは「学習者評価ツール」ではなく医学生(研修医)の「診療体験学習の支援ツール」であると指導医(評価者)には紹介し、日常の実習(研修)での試用を促しましょう。
我が国の学習者や評価者は「学習者評価」という言葉を聞くと、Mini-CEXを「合否判定するもの」や「準備をして最高のパフォーマンスをするもの」と認識しがちです。そのためにMini-CEXを準備なしに咄嗟に行うことを躊躇しがちになります。これでは、なかなかMini-CEXの評価票が使われることになりませんし、複数回の多様な症例の観察評価が行い難くなります。
日々の実習(研修)中でMini-CEXを行う機会を「損なわせない」意識付けが重要です。実際、Mini-CEXは臨床現場での学習者の実践の記録であり、学習者自身の振り返りを助け、指導医は指導する観点を(評価項目として)明確化することができます。自己省察やフィードバックを効果的に行う学習支援ツールとして、事前準備なしに気軽に使っていくことを促してみましょう。
とはいえ、真の患者の診察を担当する責任感は学習者に意識させるべきです。そのため、あらかじめ、学習者には実際の症例を指導医の観察のもとで診療してもらうことを明確に説明したほうがよいでしょう。また、説明だけではなく、指導医の外来診療を数回見学してもらうと学習者の不安を軽減できるでしょう。